プログラム & 登壇者
PROGRAM & SPEAKERS
PROGRAM
DAY 1
2026.3.12 (Thu)
オープニングセッション
映画、アニメ、CM——
今、表現者はAIとどう向き合うべきか?
生成AIの登場で、映画、アニメ、CMなどのクリエイティブは劇的に変化しつつあります。そこでオープニングセッションとして、WAIFF 2026 in KYOTO の審査員と、識者に登壇いただき、それぞれのAIとの向き合い方、AIが変えて行く世界とは? についてのメッセージをいただきます。
【登壇者】 WAIFF審査員 ほか
CEREMONY
WAIFF アワード授賞式
世界中から応募された作品の中から、各ジャンルごとの優秀作品を決定するアワードを開催いたします。
DAY 2
2026.3.13 (Fri)
AI×国際トレンド
海外AI最新事情と日本IPの可能性
海外の映画祭、スタジオ、クリエイターは生成AIをどう捉えているのか? ハリウッドをはじめとする世界の潮流と、それに対して日本のIP(知的財産)はどのように戦っていくべきか? 海外事情に精通したエキスパートを招き、日本がとるべき戦略を探ります。
【登壇者】 Douglas Montgomery
AI×模擬裁判
AIは敵か味方か? それとも——
ディベート形式でAIの是非を問う、観客参加型の「模擬裁判」セッションを開催予定。
【登壇者】 調整中
AI×宮台真司
AI時代のクリエイティブ——
圧倒的な絶望とその先の希望とは?
生成AIが浸透しつつある現在、あらゆる表現は従来の価値と意味を変質させていきます。その中で生き残り、かすかな輝きを発する表現とはどのようなものなのでしょう? 人類学的社会学者であり、映画批評家でもある宮台真司氏が、AI時代のクリエイティブについて深く語ります。宮台氏によるキーノートの後、アニメプロデューサー等の有識者を交えたディスカッションを行います。
【登壇者】 宮台 真司 / 櫻井 大樹 / 齋藤 優一郎 / 吉田 尚記
登壇者
SPEAKERS
SPEAKERS
髙橋 望
髙橋 望
Nozomu Takahashi
映画プロデューサー/アニメ特撮アーカイブ機構 理事
1960年生まれ、東京都出身。
スタジオジブリにて、鈴木敏夫プロデューサーの右腕として『千と千尋の神隠し』や『紅の豚』などの制作を担当し、『海がきこえる』や『猫の恩返し』ではプロデューサーを務めた。
その後、日本テレビに移籍し、細田守監督の『サマーウォーズ』や『竜とそばかすの姫』、山崎貴監督の『ALWAYS三丁目の夕日』シリーズなど、数多くのヒット作を手掛けた。
現在は、アニメーション映画の企画にかかわる一方、庵野秀明監督が理事長を務めるアニメ特撮アーカイブ機構の理事として過去作の資料の保存や利活用推進といった活動にも力を入れている。
メッセージ
アニメーション制作は、膨大な時間と労力を要する過酷な現場です。
私は、AIの進歩がもたらす『効率化』や『省力化』が、映画制作の未来を大きく変えると確信しています。
制作コストや予算の壁をAIが取り払ってくれるなら、これまで『お金がかかりすぎて成立しない』と諦めていた壮大な企画や、収益性にとらわれない『尖ったニッチな企画』にも光が当たるはずです。技術の革新によって、アニメーション映画の企画の幅はもっと自由に、もっと豊かになるでしょう。
AIという新たな力を味方につけて、表現の多様性を切り拓く。そんな熱意あるクリエイターの皆さんの挑戦に、京都で出会えることを心から楽しみにしています。

Douglas Montgomery
ダグラス・モンゴメリー
Douglas Montgomery
GLOBAL CONNECTS MEDIA CEO/インターナショナル・コンテンツ・ストラテジスト/元Warner Bros.
エンターテインメントおよび小売業界において20年以上の経験を持つリサーチャー/アナリストであり、インターナショナル・コンテンツ・ストラテジストとしても活動する。
16年間にわたりWarner Bros.に在籍し、アメリカ、日本、イギリスの3カ国で、同社の経営陣および主要小売パートナーを支援するアナリストを務め、映画・エンターテインメント市場とグローバル流通の双方に精通した知見を培う。
2021年、GLOBAL CONNECTS MEDIAを設立し、CEOに就任。
戦略的リサーチと洞察を通じて、クライアントのグローバルなエンターテインメントおよび小売市場への展開を支援している。
ロサンゼルスを拠点に、国際映画祭「Global Stage Hollywood」を主宰。
クリエイター、プロデューサー、スタジオ、投資家を結ぶグローバルプラットフォームとして、国境を越えた共同製作や新たな才能の発掘を推進している。
特にAI、新しいナラティブ表現、グローバルIP開発の交差点に強い関心を持ち、次世代のストーリーテラーを支える制作・市場モデルの構築に取り組む。
2025年、外国特派員協会(FCCJ)エンターテインメント評議委員会長に就任。国際映画祭、マーケット、業界フォーラムに継続的に参加し、映画とエンターテインメントの未来、ならびにグローバル・コラボレーションの可能性について発信を続けている。
メッセージ
ハリウッドが100年かけて築き上げたインフラの優位性は、今まさにAIによる破壊的革新(ディスラプション)の下で崩れ去ろうとしています。ロサンゼルスでは、わずか3年間で数千ものエンターテインメント関連の雇用が失われました。これは労働力の約4分の1に相当します。ハリウッドの「ゲートキーパー」としての地位を正当化していた旧来のコスト構造は排除されつつあり、コンテンツは真の意味でグローバル化しています。
ここで重要な鍵となるのは、「誰が最も多くのコンテンツを生み出せるか?」という点です。その答えは、アジアです。
47億人の人口と深く豊かな文化的IPを持つアジアは、戦略的に動くことができれば、この混沌とした状況を最大の好機に変える位置にいます。ハリウッドは、門が閉ざされていた時代には機能する高コストな生産マシンを作り上げました。しかし、ストリーミングとAIがその門を開け放った今、古いマシンは競争力を失いつつあります。
しかし、有利なポジションにいることだけで運命が決まるわけではありません。日本のコンテンツ、その強力な「ソフトパワー」は岐路に立たされています。アニメ人気はかつてない高まりを見せていますが、課題も残っています。制作現場では、トップスタジオやクリエイターが3〜4年先までスケジュールが埋まっているというバックログ(受注残)を抱えています。さらに、コンテンツのROI(投資対効果)の大部分はいまだ海外に留まっています。
今こそ日本が新しい技術とアイデアを受け入れ、世界の注目を集めると同時に、クリエイティブ・コミュニティにより大きなリターンをもたらすべき時です。
AIは、これら両方の目標を達成するための現実的な道筋を提供します。
私は、日本のスタジオがこの前例のない変革を活用し、持続可能なグローバルオーディエンスを構築できるのか、それとも構造的なリスク回避姿勢によって、アジアにおけるAIの優位性をより攻撃的な競合に明け渡してしまうのかを問いかけます。

ゲートはすでに開かれている。
あとは、日本がそのゲートをくぐる意志があるかどうかだ。

照井 勝
照井 勝
Masaru Terui
弁護士
青山綜合法律事務所パートナー弁護士
一橋大学大学院法学研究科ビジネスロー専攻非常勤講師(エンタテインメント法)
弁護士知財ネット理事

専門分野は、映画・テレビ、ゲーム、音楽、広告、アート、ファッション、スポーツ関連の契約交渉、契約書作成及び紛争解決。
クレジットされている最近の映画作品としては、『怪物』(是枝裕和監督、2023年)、『ファーストキス 1ST KISS』(塚原あゆ子監督、2025年)、『この夏の星を見る』(山元環監督、2025年)、『爆弾』(永井聡監督、2025年)など。
メッセージ
半世紀生きている間に、2つの革命に遭遇しました。インターネットとAIです。
法律というものの宿命ですが、圧倒的な速さで成長していくテクノロジーに対して、残念ながら常に周回遅れです。
ですが、これは日本に限った話ではありません。全世界の法律が今、現在進行形でAIに関連する問題に直面しています。
ある意味、カオスに近い状況の中で、映画に関連する法律や契約がどのような形でAIに向き合っていくべきなのか。
私もその渦中の中で日々もがいている一人です。参加されるみなさまと一緒に、我々が進むべき道を模索したいと思います。

宮台 真司
宮台 真司
Shinji Miyadai
人類学的社会学者・映画批評家
1959年、仙台市生まれ。
現代社会の複雑性を「システム理論」と「身体性」の両面から読み解く社会学者。
加速するテクノロジー社会において、人間が人間としての尊厳と活力を維持し続けるための 「生態学的ニッチ」を理論と実践の両面から探究し続けている。
大著4冊の映画批評、森(森のようちえん・森のキャンプ)と海(シーカヤック)の野外実践、恋愛ワークショップなども、多くの人に生き方を変えるほど影響を与えた。
近年は社会システム理論を、人類学・考古学・精神病理学・進化生物学・比較認知科学・宇宙物理学・量子物理学)などを取り入れた普遍生態学へと拡張。
その一端を示す最新刊『宮台式人類学──前提を遡る思考』(2026年3月10日刊行)は、ゲラを読んだ諸分野の学者や精神科医や宗教家などから驚嘆の声を以て迎えられている。
メッセージ
僕の周辺では、動画作成経験のない学生たちが生成AIを使って宮台が登場する数分以内のショート動画を次々作り、それらをつなげた中編動画もある。
自分たちが作った動画を仲間内で楽しむ文化が育っている。
音楽家や物書きのプロのみならず経営会議に臨む経営者や政策立案をする政治家も、既に生成AIを用いて「2人羽織」化している。
データをクロールする生成AIと著作権で戦うのは無駄だ。

「その都度」の時期に生成AIがキャッチアップできていない表現を目指す時代が訪れた。
「その都度」を超えて生成AIが原理的に不得意とする表現とは何かを各表現者が考えることが、棲み分けの手間を省く。
先端科学の視座から「AIが与える体験」ならぬ「AIを訪れる体験」がキーフレーズになる。

吉田 尚記
吉田 尚記
Hisanori Yoshida
ニッポン放送アナウンサー
1975年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。
2012年第49回「ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞」受賞。
ラジオ番組でのパーソナリティのほか、テレビ番組やイベントでの司会進行など、レギュラー番組以外に年間200本ほど出演。
またマンガ、アニメ、アイドル、デジタル関係に精通し、「マンガ大賞」発起人、バーチャルアナウンサー「一翔剣」の「上司」であるなど、アナウンサーの枠にとらわれず活動を続けている。

なお、2024年には東京大学大学院に合格し、2025年4月から東京大学大学院情報学環・学際情報学府・社会情報学コース在籍中。研究テーマは、『推し活はウェルビーイングをもたらすのか?~「ももいろクローバーZ」のファンとウェルビーイングの関係に注目して』。

共著を含め14冊の書籍を刊行し、ジャンルはコミュニケーション・ウェルビーイング・メディア論・アドラー心理学・フロー理論・人類学・相対性理論など多岐にわたる。
著書の『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版)は国内13.5万部、タイで3万部を突破するベストセラーに。最新作は2025年7月発売の吉本芸人で大学講師、サイエンスコミュニケーターの黒ラブ教授との共著『雑談でわかる相対性理論』(マイナビ出版)
メッセージ
メディアの歴史は、常に「技術の発明」という名の革命によって書き換えられてきました。

かつて人類は、フィルムの連続撮影が可能になったことで初めて「映画」という魔法を手にしました。
絵が命を宿すアニメーションに驚喜し、CGによって想像力の限界を超える光景を現実にしました。
技術はいつも、発明以前の人類には到達し得なかった新しい世界を、私たちの目の前に強引に引き寄せてくれるのです。

そして今、私たちはAIという新たな特異点に立っています。
これが単なる効率化ではなく、映画の定義すら変貌させる「未知の発明」であることを確信しています。AIが導く、まだ誰も見たことのない表現の地平に出会えることが、楽しみでなりません。

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